小川町:酒蔵3軒・酒蔵見学、三代目清水屋、花和楽の湯 210821sake-do-yu
〈場所:埼玉県比企郡小川町 散歩日:2021年8月21日、2022年7月23日〉
小川町は、埼玉県の中央部よりやや西側(秩父地域の東側)に位置する。関越道の嵐山小川ICから町の中心部まで15分ほど。JR八高線と東武東上線の停車駅がある。
周囲を緑豊かな外秩父の山々に囲まれ、市街地の中央に槻川が流れる小川町は、歴史を誇る小川和紙や小川絹をはじめ、建具、酒造などの伝統産業で古くから栄えた町。
昨年と今年、小川町を訪れたので、見所を3回に分けてとりあげる。
今回は、歴史のある酒蔵、おからドーナツで有名なお店、アルカリ性単純泉のこと。
町内に3軒の酒蔵
小川町は、外秩父の山に囲まれた小川盆地特有の冬の寒さと、良質な水に恵まれ日本酒造りに適した土地柄。人口約3万人の町に、今も「武蔵鶴酒造」、「晴雲酒造」、「松岡醸造」と、3軒の酒蔵があり、その伝統を踏襲している。
いずれも小川町駅の南側にある。小川町駅からの距離では、武蔵鶴酒造が徒歩5分ほど。晴雲酒造は徒歩11分ほど、松岡醸造は槻川を渡って徒歩35分ほど。
この中で、武蔵鶴酒造は今年の「七夕まつり」の際に煙突にひかれて立ち寄り、松岡醸造は昨年、酒蔵見学で訪れた。
何故3軒の酒蔵の中で、松岡醸造に行ったのかというと、その2年前の私の誕生日に娘婿から『帝松【霜里】』という純米吟醸を頂き(旨かった)、それが松岡醸造のブランドだったので、小川町のお酒は(その時点で)松岡醸造しか知らなかったことによる。また、未だ訪れていない晴雲酒造にも、機会があれば訪れたいと思っている。
松岡醸造での酒蔵見学
松岡醸造の創業は170年前(1851年)、新潟県出身の初代が地元から酒蔵を移築したとされる。仕込み水は硬水、しかも国内仕込み水トップクラスの硬度。灘の酒の「宮水」以上に硬度が高い。でも「硬水なのに柔らかい」という水(実際飲んでみて違和感無し)で、そこに軟水の新潟での酒造りが活かされ、酒蔵特有のお酒が生まれた。
事前に酒蔵見学を予約をしたものの、初めてなので受け付けをどこでするのか分からない。そこで目にとまった直売店に行ってみることにした。なお、入口の左側には地下130mから汲み上げた仕込み水を飲めるようになっている。
直売店のレジで聞くと「ここでしばらくお待ちください」と。ほどなく「こちらにどうぞ~」と外にでて、蔵の杉玉の前で集合待ち。カメラ撮影のことを聞くと「どこもOK」とのこと。集まったのは、一般が3組(8人ほど)と何かの取材チームだった。
見学は次期7代目の若い(30代)専務の案内。いろいろ教えて頂いた。
杉玉は、新酒ができましたよ!という目印と言われるが、江戸の頃はお米もお酒も貴重なもので、お酒を毎年どこででも作って良いというわけではなかった。なので、酒蔵としての杉玉は「今年はお酒が造れます!」というものだったようだ。
新旧ある蔵のうち、新しい蔵に入る。お米を洗う~蒸す~冷やすなどの設備がある。
画の右側は大きな釜で湯を沸かすためのもの。上に同サイズのセイロがクレーンで移動できるようになっていて、そこにお米を入れて蒸す。左側はそれを冷やすための設備。昔は辛い作業だったが、効率的にできるようになった。
酒米3種類の見本を見ながら、それぞれの特徴を伺う。その後、発酵・貯蔵タンクに移動。一つのタンクで一升瓶何本とか、それに見合う田んぼの面積はどれくらいとか説明があった。また。タンクの周囲を地下水で一定温度にするような説明があったように思う。
次は、古い方の蔵に移動。ここのタンクでは10年熟成させている古酒や新しい銘柄用に使っているようだ。
大吟醸用という部屋は、冷房が効いて一気に汗がひく。
「検査室」という部屋があった。その昔、酒税は今よりも国税に占める割合が多かったこともあり、製造量をきっちり検査するため、税務署の方が常駐していたという。室内は当時のまま保存されている。当時の居室からすれば最上級のおもてなし部屋だろう。
いろいろ聞いたことの一部しか記せないが、酒蔵見学はとても面白くためになった。日本酒に興味・関心のある方は、是非一度参加されると良いと思う。
見学の後は、直売店で試飲。「いくらでも、どうぞ」と専務は言うが、運転手なので試飲できない。10年熟成もの、酒米「雄町」のみで作ったもの、あれやこれや特徴のあるお酒が様々。妻は4~5種類くらい試飲。羨ましい・・・辛い。
店内、壁面の棚の他、店の中央にも多数並べてあり、別に冷やしてあるものもある。出かけた先で酒蔵の直売店があれば立ち寄ることもあるが、ここの酒蔵はいろんな種類の銘柄がある。味の濃さ淡さ、香りの高さ穏やかさ、自分の好みに合う銘柄を探してみたら・・・あると思う。
自分用のお土産として、小瓶の『創業170周年記念酒 帝松 純米吟醸 生原酒』と『帝松 吟醸 出世酒 社長の酒』、四合瓶で『赤磐雄町 純米原酒』を購入した。
専務の説明の中で、ここの地盤は強固な岩盤で地震に強く、東日本大震災の時も棚から瓶が落ちるようなことはなかったという。当地周辺の震度は4~5なのにスゴイ地盤だ。
武蔵鶴酒造の煙突
今年の「小川町七夕まつり」見学に行った際、早く着いたため竹飾りの準備中で手持無沙汰になったが、良い機会と思い駅に近い酒蔵を見に行くことにした。
武蔵鶴酒造は、機械に頼らない、人の手の温もりと、感覚を大切にした酒造りを、心がけている酒蔵(公式Webサイト参照)。道路沿いに白壁の蔵があり、建物の向こうには歴史のありそうな煙突が見える・・・気になる。
直売もする趣きのある店先で、しばし逡巡するが、意を決してドアを開ける。
中にいた女性に「道路から煙突が見えたのですが、近くで見ることはできますか?」とお願いしてみる。しばらくすると、奥から年配の男性が来られた。「良いですよ~、こちらからどうぞ」と、煙突の全景が見えるところまで案内してもらった。
(高いので広角気味)風格のあるレンガの煙突で、ズームで上部を見ると装飾も施されている。良いモノを見せていただき、大変感謝。気分良く店を出たが、小瓶を買うのを忘れた!と反省。また機会があれば、その時は酒蔵見学をしたいものだ。
三代目 清水屋
そもそも小川町を訪れようとしたきっかけの一つは、TV番組『出没!アド街ック天国』の埼玉 嵐山・小川町編を観たことにもよる。
その番組でも紹介されていたのが「三代目 清水屋」。創業100周年を迎える豆腐の老舗で、「おからドーナツ」が人気とのこと。そこで、お土産に買っていこうと考えた。
隣に駐車場があり、店用には3台分可。入店する際に先客が帰り、我々だけだった。おからドーナツの種類は多いけど、半分くらいは既に売り切れ状態。妻が適当に見繕って購入。(この翌日プレーンを食べたけど、甘すぎず美味しかった)
上の画は、今年の「小川町七夕まつり」の時の同店の七夕飾り。駅前なので目につく。
花和楽の湯(かわらのゆ)
ph10.0の強アルカリ性単純泉。肌の余分な角質を取り除き保湿を与えるという 通称「美人の湯」。全国でも珍しい「全量総入替方式」でお湯を全て入れ替え、いつでも新鮮なお湯を楽しめる(公式Webサイト参照)。武蔵の小京都で唯一の温泉施設だ。
後背に山があり、自然との一体感と落ち着いた佇まいの入り口。
露天風呂付個室を予約していた。初めて訪れるので、受付で個室のことや食事のことなどいろいろ聞く。レストランは短縮営業で1時間早く終わるようだ。レストランでチケットを購入し、係りの方に個室名を伝えると個室まで食事を運んでくれるという。
個室予約までは時間があり、荷物を預けるのと大浴場・露天風呂の様子は見ておきたいので、まずは露天風呂にさっと浸かることにした。露天風呂は幾つかあったが、それぞれ数人程。美人の湯はヌルスベ。山の樹々が良い眺め。セミは元気でうるさいくらい。
中庭には大きな樹が配されていた。この後、雨が降り始める。
浴衣に着替え荷物をロッカーに入れたまま出る。遅れて出てきた妻と、しばし椅子で過ごしたり館内散策したり。散策中にうたた寝処を発見。広い(30畳はありそう)部屋に先客2人のみ。これならと予約時間まで、横になり本を読みながらまどろむ。
個室は和室に6人掛けのテーブルとイス。外はデッキにつぼ型タイプの浴槽とチェア、それと和風の庭。後背は山の樹々。贅沢なつくりだ。
先にレストランでチケットを購入し、個室で夕食とする。いつもより早いし、それほどお腹はすいてないのでうどんのメニューにする。埼玉県は「うどん県」だ。
その後、庭や背後の樹々がライトアップされた。大浴場の露天風呂からも見えるのだろう。お風呂に少し温まって、少し涼んでを繰り返す。ゆったりと贅沢な時間だ。
*画は基本デジカメだが、一部スマホの画を含む。ただ、スマホのカメラは色彩が少し変なので調整しているものの・・・ちょっと変は残る。
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